建築物の中にある「ダクト」は空調・換気・排煙など排気が目的の設備です。ダクトがなければ室内は悪い空気でいっぱいになってしまいます。

新鮮な空気を取りいれることはできないでしょう。そこで、今回は、ダクトの種類や用途についてご紹介いたします。

 

ダクトの種類

建設業において「ダクト」は管工事業のひとつになります。

空調に必要なダクトの種類はどんなものがあるのでしょうか。それぞれの特徴をご紹介いたします。

 

・角がある「角ダクト」

ダクトの種類は設置する場所によって様々です。

主に種類をわけるなら「角ダクト」と「丸ダクト」の2種となります。まっすぐなデザインから曲がっているものまでさまざまなデザインがそろっているでしょう。

角ダクトは丸ダクトよりも角ばっています。丸まっているわけではないので区別しやすいです。直管はまっすぐに伸び、場所によってはL字型に曲がるケースもあります。

曲がった角ダクトとしてはエルボがあがるでしょう。エルボの角度はおよそ90℃です。調理場ではよく見かけるタイプになります。

フードと呼んでいる角ダクトは調理器具のうえに設置することが多いでしょう。箱型・山型になっているため、排気性能が高いです。

 

・丸まっている「丸ダクト」

「円形」とも呼んでいる「丸ダクト」は丸まっているのが特徴的のダクトです。

直管には標準として定尺4mのスパイラル管を使用します。

角ダクトやチャンバーなどから丸ダクトを取り出す際、使用する“カラー”や丸ダクト同士をつなぐ“ニップル”などさまざまな種類があるでしょう。丸ダクトを分岐するために使うつなぎ手の役割を担うのが“分岐管”です。

主に、分岐管にはT管・Y管・TY管の3種類があります。

T管は幹から90℃、Y管は45℃、TY管は45℃~90℃出ているものと角度の大きさによって異なるのです。

 

設置する施設の大きさによって異なる種類

ダクトの種類は「設置する施設の大きさ」によって異なります。

スーパーやコンサートホール、病院など中規模以上の施設に設置するダクトは「空調ダクト」です。人が多く集まる場所には必ずと言っていいほど設置してあります。

空調ダクトを設置する際、空調調和機やダクトの接続に使うのが“キャンバス”です。キャンバスは振動がダクトに伝わらないよう工夫できます。

工事や事務所、店舗などに設置しているダクトは「換気ダクト」です。室内にたまった空気を外に出して、室内に新鮮な空気を取りいれるには必要不可欠なダクトになるでしょう。

飲食店や食品加工工場など調理する場所には「厨房(ちゅうぼう)排気ダクト」が、大規模な建物に必ず設置しているのは「排煙ダクト」になります。

火災時、スムーズに非難ができるように排煙ダクトには“ダンパー”などの空調設備がついているでしょう。

 

 

ダクトの用途

 

空調(SARA)と外気(OA)

ダクトの用途は主に空調(SA・RA)、排気(EA)、外気(OA)、排煙(SEA・SM)の4つに分類しています。

空調(SA・RA)はSupply Air、Return Airが正式名称です。

冷たい・温かい風が流れているものを給気の意味を持つSA、部屋から空調機への還りを意味しているのがRAになります。

空気を送りこむ場合はほとんど保温断熱することが多いでしょう。

つまり、保温材の1つだと思ってください。

空調を目的としてのダクト設置場所は、空気の入れ替えが必要なところになるでしょう。

たとえば、食品関係のクリーンルーム、手術室などです。一定の給排気が大きなポイントになります。

そして、外気(OA)は、Outdoor Air、Outside Airなどが正式名称です。

そとにある空気を建物内へ取りこむ目的になります。鳥や昆虫が混入しないようメッシュの金網が必要となります。

 

排気(EA)と排煙(SEASM)

たくさん煙が出る場所は、排気(EA)を目的としたダクトの設置が必要です。

たとえば、厨房(ちゅうぼう)排気が当てはまるでしょう。有機溶剤や臭気が発生する場所でも役立ちます。

場合によっては高温低温の空気をそとに排出するケースもあるのです。

場所によってはダクトに工夫をしておかなければなりません。厨房排気の場合、延焼する恐れがあります。延焼を防ぐためダクトへ油分を付着しない油分分離装置(グリスフィルター)を取りつけるでしょう。実験や放射線設備の排気ではフィルターで処理してからでないと排出できません。

そして、排煙(SEA・SM)は火災時に発生する煙をそとに排出する目的で使用します。延焼を防ぐため断熱することがほとんどです。

 

 

設置場所によってダクトの大きさ、種類、デザイン、材質などさまざまな部分が変わってきます。

使用用途に合ったダクトを設置しなければ上手に機能しません。設置場所の環境や状況をきちんと踏まえたうえで、適切な種類を選ぶことが重要となります。